対策を練る場合に重要なことが2つある。
1.過去や失敗の分析をきちんとすること。
2.顧客の生の声を聞くこと。
次に一人ひとりの顧客を大事にすることである。
1をするためには過去データや失敗データがデータベースとして蓄積されていなければならない。
加えて顧客情報のデータベース化である。
ここで注意したいのは単なる顧客情報を入力したものと、「データベース化」はまったく別物だということだ。
2は消費動向の移り変わりや消費者ニーズを把握するために絶対必要だろう。
「原点は消費の最前線にある」ということをしっかり認識すべきである。
言葉としていってしまえばこういうことだが、「消費の最前線」を原点と捉えているところはサービス業の中でも少ない。いわんや製造業の場合は「消費の最前線」という思考すらない。モノが売れないのは当たり前だろう。
「消費の最前線」という考えがないから「おもてなしの心」などさらさらない。
当然、顧客の生の声など聞こえないし、聞こうともしていない。
すると次第に顧客が離れていく。
来店客が減るから、販売員の士気が下がる。
士気(モラール)が下がるから、心のこもった持てなしはできない。
接客態度が雑になり、客の購買行動にも無頓着になる。
商品構成は顧客の求めているものではなく、売る側の都合になる。
客は不満を募らせ、離れていく。
こうなるともう完全に負のスパイラルだ。
まるで蟻地獄にでも落ちたようになり、もがけばもがくほどどんどん沈み込んでいく。
商品構成と顧客の間が乖離してくるといえば、MD(マーチャンダイジング。商品・サービスを需要動向に合わせて適当な場所、時期、数量、価格で販売する商品化計画)ができてないからだという声が聞こえてきそうだが、ここに面白い数字がある。
企業や店が客を失う最大の理由は商品や価格ではない。商品への不満はわずか15%にしか過ぎないというのだ。
では、なにが理由かといえば、従業員の無礼な態度や無関心な態度で、それが70%を占めているといわれている。
逆にいえば、従業員の態度を改めれば、70%の客はつなぎ止めることができるのだ。
結局、売れない理由を景気のせいやモノあまりなどの外部要因に求めているが、本当の理由は「消費の最前線」から離れ、「持てなしの心」を忘れた態度だということだ。
つまり消費不況ではなく「販売不況」。
少なくともユニクロやイオンのように大量販売している企業以外の中小企業は特に。
目先の移り変わりを追うことも必要だが、既存顧客をいかに大事にするかということを徹底的にやれば、少なくとも落ち込みは防げる。
このことはサービス業だけでなく製造業にもいえる。
問題は製造業の方がそのことをどこまで分かっているかということだ。
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